偏ってる映画日記

主に映画、ごく稀に本についての感想を自由に書いています。

映画『母なる証明』

2009年韓国映画

ポン・ジュノ監督。

 

 

 韓国映画はほとんど観ないので、この監督が有名なのかとかさっぱりわからないが、

なかなか面白い映画だと思ったので書いておこうと思う。

 あまりに韓国に興味が無いため、出演者は、息子役のウォン・ビンしか聞いたことは

なく、しかも名前しか知らなかった。が、とても綺麗な顔をしていて日本人的感覚でい

っても十分かっこいいと思われる。

 

 映画全体の色が青っぽい。どちらかというとフランス映画とかの雰囲気。寂しい、晴

れているのに雨の日のような映像。途中ちょいちょいコメディタッチで描かれている

が、それでも暗い。

 

 内容は、軽い知的障害のトジュン(ウォン・ビン)が、女子高生殺害容疑で逮捕さ

れ、無実を信じる母親が息子を助けるべく奔走するという話。貧乏なこともあり、苦労

するが、失敗を重ねながらも調査を続けていくうちに、目撃者を探し出す。しかし、そ

の目撃者が語ったことは、トジュンが犯人であると決定づけてしまう内容だった。

 動転した母親は、警察に証言しようとする目撃者を殺害し、住居を燃やし、何事もな

かったかのように、釈放されたトジュンとの暮らしに戻る。

 ある日、町内の慰安旅行に行くことになった母親に、トジュンが「火事のあった場所

にたまたま遊びにいったら見つけた」という、母親の仕事道具を渡す。

 

 文章で簡単なあらすじにすると伝わりにくいのだが、最後まで薄気味悪い感じが残る

映画だった。登場人物は息子のトジュン含めて皆思惑を抱えているというか、完全に信

用ならない、何を考えているのかわからない感じがある。

 悪友ではあるが友人のはずのジンテは、トジュンが知的障害者であるのをいいことに

車のサイドミラーを壊した罪をなすりつけ、殺人で捕まった際も面会にも来ない。しか

し、お金をもらったとはいえ、母親からの尋問依頼を引き受け、トジュンのために尽力

し、トジュンが釈放された日には彼女と一緒にケーキを持って迎えに来ている。

 そもそも、息子を想い、助けようと必死な母親の姿を描いているにもかかわらず、捕

まったトジュンはしばらくして、5歳の頃母親から農薬を飲まされて殺されかけたこと

を思い出し、二人は険悪な関係になる。

 殺された女子高生だって別に清らかな若者でもなく、貧困から、売春を繰り返してい

たという設定である。

 結局は、女子高生が、たまたま通りすがりのトジュンに、たまたまトジュンがキレる

言葉を発してしまったことで起こった事件であり、そこには怨恨も金銭も強姦も絡んで

いないのである。真相は何の複雑さも無い事件だったのだが、この映画は、ミステリー

とか謎解き映画では無い。事件を通して、人々の陰の部分が現れるようにしていて、そ

れがテーマであると思われる。

 題名も母なる証明だし、英題もmotherだから、結局は親子の絆の話で収まるかと思っ

たら、そうでは無かった。母親は終盤まで息子の行動にギクリとしながらも、最後は考

えることを放棄し、なかったことにしてしまうような終わり方。

 それぞれの人物の行動には様々な解釈ができそうな内容だったが、私は敢えて自分な

りの解釈を持たず、母親が取ったように考えないことにし、全体の薄気味悪さの余韻だ

け感じておくことにする。

 

 

 

 

 

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