偏ってる映画日記

主に映画、ごく稀に本についての感想を自由に書いています。

本『私は私〜超訳 ココ・シャネル〜』(書評②シャネルの恋愛)

 シャネルは偉大な実業家であるとともに、恋愛もたくさんしていたようだ。

 有名なところでは、ピカソ、ダリ、音楽家ストラヴィンスキーウェストミンスター

公爵、ロシアのディミトリ大公、映画監督ルキノ・ヴィスコンティ・・・・その他たくさんの一流男性と恋愛関係があったという。また、バイセクシャルだったそうで、ファ

ッションへの考え方だけでなく、恋愛においても本当に自由な女性だったようだ。

 

 モード界ではアトリエ内の女性デザイナーのことを「マドモワゼル」と呼ぶ習慣があ

るらしいが、一般的にマドモワゼルというと、シャネル本人のことを指す固有名詞にな

っているという。マドモワゼルとはフランス語で未婚女性につける敬称である。既婚女

性に対するマダムの対語(?)にあたる。

 実際シャネルは生涯結婚することなく独身だった。

 とはいえ、独身主義者だったわけではなく、タイミングが合わなかっただけのよう

で、結婚を決意したと言われる、シャネルが生涯で一番愛したと言われるイギリス人実

業家アーサー・カペルは自動車事故死、50歳の頃の恋人ポール・イリブは心臓発作で

死亡している。

 

 恋多き女性のシャネルだが、この女性のすごいところは、恋愛はするが男性に依存は

しないところにある。完全に経済的に自立した上で、対等に男性と付き合っているので

ある。

 帽子屋の開店資金を援助してもらった恋人アーサー・カペルはどうなんだと言われそ

うだが、その援助金も数年後には全額返済しているという。これは単なる愛人から囲わ

れてお金もらっている女とはわけが違う。起業する際に融資を受けた先がたまたま恋人

の男性だったということだ。

『男を獲物として見る女が多いのには驚かされる。私は男を罠にかけるようなことはしない』

という発言からもわかるように、夫の地位や財産に依存して生きようとする女性をシャ

ネルは嫌っていたという。そんな女性に魅力も品性もない。結婚は愛が理由でなければ

ならない、と。

 

 シャネルが40歳の頃、ヨーロッパいちの金持ちと言われるウェストミンスター公爵

との恋愛では、相手から高価でゴージャスな贈り物が届くたびに、それに相応する贈り

物をすぐさま返していたという。

 

 これだけ仕事に精力的に取り組みながらも、恋愛をおろそかにせず人生を謳歌したシ

ャネルは素晴らしい。たまに、「仕事が忙しすぎて男性と付き合う暇なくてもうこんな

年齢・・・」とかいった言い訳している女性がいるが、ほんとただの言い訳だと思う。

自分に女性としての魅力がないことの言い訳である。

 仕事か恋愛かなんてどっちかを選ぶ必要なんてないのだ。どっちも得たらいい。

 

 こういう考え方が、シャネルはフランス人だなあと思う。女性の社会的自立が当たり

前で、恋愛至上主義のフランス。しかし、シャネルの発言を見ると、当時はまだまだ女

性は男性に依存して生きるのが当たり前の時代だったようだし、シャネルのような女性

は珍しかっただろうと思う。現代フランスはこのシャネルの精神が定着した結果なのか

単なる時代の流れなのか。